うつわ、道具のお店を始めるにあたり、どうしても行っておきたいと思った所があり、10月に行ってきました。大分県の日田市の山間地にある小鹿田(おんた)です。そこへ行くには、今でも車2台がすれ違えないような細い道を通らなければなりません。

ご存知の方も多いと思いますが、昭和6年に柳宗悦が「発見」して一躍有名になった民窯の里です。開窯は江戸時代で、それまで中央にはほとんど知られることなく、専ら地域の用を満たすために、こつこつと焼物の生産を続けていたといいます。

その技術は現在、国の重要無形文化財(平成七年指定)になってもいるわけですが、やはり驚くべきは今でも登り窯、蹴ろくろ、唐臼などを使った昔ながらの方法で生産が続けられているということです。そしてその製品の素朴なすばらしさ。

何がこのようなことを可能にしたのかということは考えなければならない大事なことに思えます。かつてはこのような「民窯」というようなものは日本各地にたくさんあったといいますが、残っているのはわずかなのです。近くの材料を使い、ふだん使うためのモノを、長い間培ったやり方で作る。美術館もアートブックも東京もニューヨークもパリもロンドンも美術大学も遠い世界で作られるモノ。美しいものを作ろうという気などさらさらなくただ日々の営みとして作られ続けてきたモノ。

そのようなモノのすばらしさを見つけて価値を与えた民藝運動がすごいのは言うまでもないことですが、すばらしいのは価値そのものだということだと思います。そして、その価値は柳宗悦たちが「やっと」見つけ出したものであるように、なかなか見つけることはできないのだということなのではないかと思います。

広告